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エピローグ 

ここでは、不死鳥の宇宙Exceed The Infinityの最終話の後日談を書きたいと思います。

  エピローグ
 アマテラスの切り札であったスーパーノヴァは完全に破壊され、主導者であるアマテラス・バルツァーも死亡した。
 残っていたわずかなアマテラス兵も次々に降伏し、ついに「地球圏戦争」は終了したのだ。

 脱出したエスペランサのクルーは脱出艇で、生き残った地球連合艦隊のわずか23隻の軍艦と共にコスモサイドベース(現在の宇宙ステーション 世界暦14年にはすでに一般人が自由に出入りできるようになっている)に入港する。
 コスモサイドベースで民間シャトルに乗り換え、グラードルのスペースポートに降り立った。
  「地球だ!」
 アルバートは深呼吸しながら言った。
 エスペランサでグラードルを旅立ってからまだ数週間しか立っていないのに、不思議と懐かしさを感じる。

 その後の一週間は大変なものだった。
 クルーが泊まっているホテルの前に大規模な取材班が毎日やってくる。
 クルーたちを英雄扱いしている民間人がホテルに押し寄せる。
 さらにはバラエティ番組への出演までさせられたのだ。

 今回の戦争の原因ともなった国連は解体され、代わって新たに「地球圏連合」が編成される。
 さらに、このようなことを二度と繰り返さないため、エターナル主導で「ADNガーディアン」が結成される。
 ガーディアンは地球圏の国、企業とは一切関わりを持たず、世界を「第三者」の立場から見つめる完全中立武装組織である。
 世界暦20年代までには紛争解決、凶悪犯罪者逮捕、環境保護など幅広い活動を展開し、地球圏を完全に統一するための組織として活動を開始する予定だ。

 (ここからは、主要メンバーの戦後の行動を書いていきます。)

 ・ルディ・カーティス
 エターナル解散後、ガーディアンに所属。
 ガーディアン特殊部隊の隊長に就任予定。
 彼専用の超性能MTU「フォーエバーイクシード」の開発も進められている。

 ・リオ・カーティス
 エターナル解散後、ガーディアンに所属。
 ルディと同じ特殊部隊に配属予定。

 ・ミランダ・アーチャー
 エターナル解散後、ガーディアンに所属。
 ガーディアン第一MTU大隊の大隊長に就任予定。

 ・アルバート・バルツァー
 エターナル解散後、ガーディアンに所属。
 ミランダ率いる第一MTU大体の母艦の艦長に就任予定。

 ・エリス・ブラード
 エターナル解散後、ガーディアンに所属。
 ルディと同じ特殊部隊に配属予定。
 密かにルディに好意を抱いている。

 ・シヴァ・ジェラーニエ
 エターナル解散後、ネルティアに帰国。
 地球圏戦争の悲惨さを伝えるべく、そして今後の平和を保つべく、各地で講演会を開いている。

 ・トルカ・ケツァル
 ガーディアンに所属するか、アスカ国に帰国するか迷っている。
 日頃の優柔不断さがいまだに影響しているようだ。

 ・ナーサリー・ジーン
 ネルティア軍に残留。
 新米MTUパイロットの教官として働く。

 ・ビル・ライン
 ネルティア軍に残留。
 トリスタンの艦長として艦隊を指揮する。

 ・ダグラス・グラードル大統領
 グラードル軍が殺害したアマテラス兵に哀悼の意を示し、大統領を辞任。
 シヴァと同じように、グラードル国内で講演会を開いている。

 ・ラザール・アロン
 人間に近い体に戻す治療を施した後、地球圏連合に所属。
 MTUパイロットとして戦い続けるようだ。


  次章予告
 地球圏戦争は終わり、世界は平和を取り戻していた。
 しかしその時、再び世界を悪夢が襲う。
 グラードルの人工知能研究所が研究していた生体機械が暴走し、その影響は世界中に広がったのだ。
 生体機械に操られた無人機は暴走し、街を破壊し始めた。
 その時、結成して間もないガーディアンが立ち上がる。
 果たして、また巻き起こった戦いは終わるのか!
  次章!不死鳥の宇宙Exceed The Forever
   おたのしみに!


  ダブルオーの一言
 次章へのつなぎ的なものです。
 各キャラクターの戦後の行動で、忘れかけられていた人もいます。
 「誰だっけ?」と首をかしげることもあるでしょう。
 逆に、僕に完全に忘れられてここに登場していない人もいるかもしれません。
 この人の戦後の行動は?という人がいたらぜひ教えてください。
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最終話 不死鳥の宇宙 

  最終話 不死鳥の宇宙
  「敵MTU部隊、第21波確認。」
  「一体何機いるんだ!」
 スーパーノヴァ宙域の激戦の中、地球連合艦隊は必死にスーパーノヴァに取り付こうとしている。

  『ヒャッハッハッハ!見つけたぜぇ。』
 ミランダ駆るライザーアークの通信機から聞きなれない声が響いた。
  「誰?」
  『まさか俺を知らないやつがいるとはな。俺はナイジェル・ゲイルだ。』
 ゲイザーを操るナイジェル・ゲイルはライザーアークに急接近する。
 ライザーアークがビームを放ち、それを軽々と回避したゲイザーから反撃のビームが飛来した。
  『最高だねぇ。なかなか楽しませてくれるじゃん。』
  「こいつ・・・戦いを楽しんでいるのか!」

 シヴァのところにもゲイザー隊が接近していた。
  「接近する機体がある?」
 モニターを最大望遠に切り替えると、白い特徴的な機体が映し出される。
  『あいつがネルティアのエース。』
 そのゲイザーを操るのはラダ・ヴェドラルという女性で、男性にも劣らないほどの肉体を持つ。
  『その腕前、見せてもらう。』
  「来るのか!」
 パーフェクトジュネスが一斉に放ったミサイルは一発も敵に命中することなく後ろに逸れ、敵の反撃も間一髪というところを掠めた。

  『ルーズ、お前はMTUもどきをやれ。俺は狙撃型を攻撃する。』
 機動兵器レイバーに乗った冷静沈着な男イリヤ・カザロフはそう命令すると、リオのライザーアークに向かう。
 一方、イリヤに命令されたルーズ・サラスは搭乗機のレイバーを駆り、コアトルに向かった。

  「捕捉した!」
 リオは一機の機動兵器を捕捉する。
  「新型機か・・・。」
 ライザーアークは狙撃用ビームライフルを放ち、その光の筋はレイバーに向かう。
 しかし、ビームはレイバーの直前で屈折し、宇宙の彼方に消えた。
  「ビームが効かない!?」

 ルーズはコアトルに攻撃を仕掛ける。
 ミサイルがコアトルをめがけて発射された。
  「そんなもの!」
 ビームバルカンがミサイルを捉える。
 すると、ミサイルは爆発し、中から稲妻が走る。
  「しまった!」
 稲妻がコアトルを襲った。
  「うわぁぁぁぁーーーー!」
 
  「超人類だけの世界を作ったら常人類のみんなは!」
  『この世に常人類なぞ不要だ。我々の自由を奪った罰として抹殺する!』
 ストライクイクシードとクエーサーはいまだに激しい戦いを繰り広げていた。
 お互いの間にはビームが飛び交う。
 高機動ユニットを取り付けたストライクイクシードはその機動性を生かして接近戦を挑んだ。
  『戦うことしか出来ない常人類が存在していたら、いつまでたっても無限を超える力を持つ人類・・・超人類の完成体は誕生しない!それがなぜわからないんだ。』
  「違う!守ろうとする力によって人は成長し、超人類の完成体だって生まれるんだ。」
 ”リヴァイアサン”が火を噴き、クエーサーのすぐ横を通過する。
  「常人類をみんな殺してしまったら、人類は壊滅する!超人類だけでは生きていけない。」
 ストライクイクシードが振るった”セイリオス”がクエーサーの脚部を捉え、破壊される。
  『くっ!』
 クエーサーは一時撤退する。

  「トリスタン3番艦撃沈します!」
 クルーは一斉に窓の外を見る。
 これまで一緒に戦ってきた仲間の艦が次々に沈んでいく。
  『これ以上の損害は出せません。一気に道を開けます。』
 ルディだった。
 ストライクイクシードはエスペランサの前方に位置し、全砲を稼働させる。
  『マルチロック完了。発射!』
 ストライクイクシードのすべての砲から光の矢が発射され、瞬く間に無数の爆発が起こった。
  「・・・前方、進路クリア。最大速度でスーパーノヴァ砲口に突入します。」
 フェリナが言い、エスペランサが一気に加速する。

 ライザーアーク2機、パーフェクトジュネス、コアトルはゲイザーやレイバーを食い止めるので精一杯になっている。
 クリーヴァは先行してスーパーノヴァ内部に進入している。
 まともにエスペランサの守備に当たっているのはエリスのみ。
  「このままじゃ!」
 多数のグレンデルが押し寄せ、エリスは苦戦を強いられていた。
  「ルディ・・・助けて・・・。」

 グレンデルを叩ききったルディは何かを感じた。
  「エリス!」
 ストライクイクシードは向きを変え、エリスのヘリオスに向かう。
 そこには多数のグレンデルの攻撃を受け、いたるところを損傷しているエリスのヘリオスがいた。
 爆発しないのがちょっとした奇跡で、いつ爆散してもおかしくない。
  「僕には何も守れないのか・・・。ライナスさんも・・・みんなも。・・・そんなことじゃダメだ!エリス、お前を助ける!」
 ルディは”セイリオス”のビームを乱射しながらエリスに接近する。
  「大丈夫か!早く退くんだ。」
  『うん。ありがとう。』
 ”イフリート”のビームが2機のグレンデルを同時に貫き、同時に爆発した。
 イクシードバレルが展開し、無数のグレンデルを叩き落す。

  「エスペランサに侵入されたぁ!どうなっているんだ!」
 アマテラスがものすごい勢いで席を立ち、副官を怒鳴りつける。
  「しかし・・・その・・・。」
  「もういい。私が出て食い止める!」
  「あっ、アマテラス様自らでありますか?」
  「当然だ。アルバートもMTUで出撃している。」
 アマテラスは副官を睨みつけた。
  「で、ですが、MTUは全機出撃しておりまして・・・。」
  「アレがある。ルディ君には申し訳ないが・・・。」
  「まさか、イクシードを?」
 返事をする代わりにニヤリと笑みをつくり、司令室から出て行く。
  「無能な部下どもに任せたのが間違いだった。私が直接叩いてみせる!」
 以前、カイザーが拿捕したイクシードはスーパーノヴァのMTU格納庫の奥に収納されている。
 空のMTU格納庫の奥にひっそりと立つイクシードを見てアマテラスは力強くうなずく。

 モニターに「EXCEED」と表示され、機器が起動した。
  「アマテラス・バルツァー、発進する。」
 格納庫から飛び立ち、スーパーノヴァ砲口に向かう。

  「艦を停泊させました。特殊部隊を出します。」
 フェリナがそう言うと、小型の着火装置を持った特殊部隊が次々と艦を出て、スーパーノヴァの施設内に侵入する。

  『カイザー、Mラインが突破された。そっちを守ってくれ。』
 アマテラスからの通信だった。
 しかし、カイザーは再び遭遇したストライクイクシードのことしか頭に無かった。
  「それは出来ません。ストライクイクシードをやらなくては、我々は負けます。」
  『そいつは無視しろ。Mラインを・・・。』
 頭に来たカイザーは無線のスイッチを切った。

  「カイザー、カイザー・へルマン!」
 アマテラスが呼びかけるも、応答はない。
  「まあいい。目の前のことに捕らわれ、死神の力に引かれた人間があの後どうなるかは知っている。」

 ミランダは最初こそ圧倒されていたが、徐々に形勢逆転していった。
  『この俺が・・・。』
  「戦いは遊びじゃないって何度言わせるかぁぁーー!」
 ミランダのインフィニティが目覚め、ナイジェルをさらに追い詰める。
 レーザーブレードはゲイザーを切り刻み、ゲイザーの腕、脚、頭が破壊された。
  「戦いを楽しむヤツに未来は無い!」
 両手に握ったレーザーブレードが的確にコックピットを貫き、ゲイザーは爆散する。

 シヴァはラダのゲイザーの動きを徐々に見切るようになっていた。
 ゲイザーバレルから放たれるビームを見事にかわし続け、反撃のビームライフルはゲイザーの各部を少しづつそぎ取っていく。
  「破壊する!こいつがいたら戦いは終わらない!」
 破壊の欲求がシヴァを埋め尽くし、シヴァの戦闘力を数倍に跳ね上げた。
  「砕けろぉぉぉ!」
 ミサイルが全弾発射され、ゲイザーを覆い尽くす。
  『この私が・・・。』
 ミサイルの爆煙が晴れた後にはゲイザーの残骸しか残っていなかった。

 リオは敵との距離を保ち続け、最後のビームバリア発生装置を破壊した。
 レイバーのビームバリアは消え、裸同然となった。
  「直撃しろぉぉぉーーー!」
 リオも覚醒し、放ったビームはレイバーのコックピットを貫く。

  「もう墜ちてくれぇぇーー!」
 トルカの体の中から一気に力があふれ、インフィニティが目覚める。
 敵の放ったミサイルは軽々とかわし、バルカン砲の弾1発まで視認できるような気がする。
  「そこだぁぁーー!」
 ビームクローはレイバーの大きなアームを切り落とし、続けざまにレイバーを真っ二つにする。
  『これが敵の・・・力・・・。』

 再び遭遇したストライクイクシードとクエーサーは激戦を繰り広げていた。
  「もう止めよう。こんなこと!戦ったって誰も幸せにならない。」
  『すべては超人類の自由のためだ。お前は超人類なのになぜ協力しない!』
  「そんなやり方では真の自由は得られない!なのになぜ!」
 イクシードバレル、クエーサーバレルの両方が飛び交い、お互いの周囲からビームの豪雨を浴びせかける。
 しかし、両者とも一発も当たらずに戦闘を続ける。
  『ルディ、今ならまだ間に合う。間違いを認めろ!』
  「僕たちは間違っていない。常人類を殺しちゃダメなんだ!」

  『100%の出力じゃなくていい。もう発射するんだ!十分な効果は得られる。』
  「了解しました。スーパーノヴァ砲、カウントダウンに入ります。」
 スーパーノヴァの司令室では、あわただしく発射準備を進めていた。
  「スーパーノヴァ砲、攻撃目標は太陽。Ω線収束開始。発射まで10秒前。」

 9、8、7・・・カウントダウンは確実に進められている。
 内部コアは眩い光を放ち、臨界を知らせる。
  「カウントダウンが開始されたようです!」
 フェリナが叫ぶ。

 6,5,4・・・
 エスペランサに接近するエリスにもその光は見えていた。
  「スーパーノヴァ砲が!みんな!」

 3・・・
  「遅すぎたな。我々の勝ちだ。」
 カイザーは笑みを浮かべてそう言う。

 2・・・
  「そんな・・・そんなこと・・・もうこんなことやめてくれぇぇぇーーー!」
 ルディはそう叫ぶ。
 ”何かを守る”というルディの意思は限界に達する。

 1・・・
 ”騎手”の登録、イクシード・ジ・インフィニティの覚醒、騎手が”守りたい”という激しい意思の力を発動させる、この3つの条件を満たしたストライクイクシードの謎のシステム”ジェネシス”は完全稼働を始める。
 ”ジェネシス”はルディの意志の力”マインドフォース”を何倍にも増長させ、その意思の力はスーパーノヴァ宙域を覆った。


  「スーパーノヴァ砲、発射!」


 だが、スーパーノヴァの壊滅への砲は発射されなかった・・・。
 何かがスーパーノヴァを止めたのだ。
 何かが・・・。


  「止まった・・・。」
 クリーヴァの中で死を覚悟したアルバートは驚きの表情でスーパーノヴァの内部コアを見つめる。
 コアが放っていた光は徐々に輝きを失い、遂に完全に光が消えた。

  『何が起こった!』
 アマテラスからの通信だった。
 副官は驚くべき情報を伝えなくてはならなかった。
  「Ω線が・・・充填していたΩ線が消えました!原因は不明です。」

 さらに、今まで執拗にエスペランサを攻撃していたグレンデルも動きを止め、宇宙空間を漂っていた。

  『お前か・・・お前が止めたのかぁぁ!』
 カイザーは怒りに満ちた目でストライクイクシードを睨みつける。
  「・・・止まった。止められた。」
 ルディは放心状態のままスーパーノヴァを見つめていた。
  『貴様ぁぁーー!』
 クエーサーはビームサーベルを抜き放ち、ストライクイクシードに向かう。
 ようやく我に帰ったルディも”セイリオス”を構え、反撃の体勢に移る。
 クエーサーのビームサーベルを軽々とかわし、クエーサーのビームサーベルを叩き落した。
 出力リミッターが解除され、さらに”ジェネシス”が最大稼働したストライクイクシードは青い光をまとい、”セイリオス”を両手に持ってクエーサーに突撃した。

  「アレは・・・イクシード!」
 遠くから接近する何かにアルバートは気付いた。
  『我が弟よ。久しぶりだな。』
  「兄貴か!なぜこんなことを!」
  『相変わらず口が達者なようだな。』
 イクシードとクリーヴァが接近し、お互いに銃を構える。
  「こんなことを!」
 クリーヴァのビームマシンガンがイクシードの肩を捉え、左腕全体が吹き飛ぶ。
  『撃て、アルバート。私の負けだ。私の望みだった超人類の完成体も見ることが出来た。ルディ君をな。彼こそが超人類の完成体であり、人類の最終進化系だ。』
  「兄貴・・・。」
  『さあ、撃つんだ。その銃でイクシードのコックピットを。私は間違っていた。お前がこれからの新世界を創れ。常人類と共に。』
  「あんたは・・・。」
  『その新しい世界に私のような者は必要ない。早く私を撃つんだ!』
  「あんたは・・・あんたはぁぁーー!」
 アルバートは引き金を引き、放たれたビームはまっすぐイクシードのコックピットを捉えた。
  『さらばだ、アルバート。いい・・・弟を・・・持つことが出来た・・・。』
 イクシードは爆散し、宇宙の塵となった。
  「兄貴・・・最後の最後で・・・。」

 エスペランサに帰還したアルバートを待っていたのは、着火装置が起動していないという情報だった。
 気化爆弾は注入完了し、後は全艦が退避して起爆するだけのはずだった。
  「・・・エスペランサを自爆させる。連鎖的に爆発が起これば、スーパーノヴァを破壊出来るはずだ。」
  「ですが、自爆装置を作動させるには誰かが残らなきゃいけないんですよ。」
  「私が残る。」
 その言葉にフェリナは驚きを隠せない。
  「でも、それって・・・。」
  「仕方がないことだ。」

  「あんただけは・・・あんただけは!」
 クエーサーはもう一本のビームサーベルを手に取り、最後の攻撃に備える。
 2本の”セイリオス”を持ったストライクイクシードはクエーサーに急接近し、コックピットを狙って強烈な突きをした。
 クエーサーのビームサーベルはストライクイクシードの右腕を吹き飛ばし、”セイリオス”の突きは見事にクエーサーのコックピットを貫く。
  『うっ、見事だ・・・。お前こそ・・・超人類の完成体だ・・・。』
 クエーサーは炎を噴きながら吹き飛び、爆発した。
  「カイザー・ヘルマン・・・。」
 ストライクイクシードはボロボロになった高機動ユニットを外し、エスペランサに向かった。

 アルバート以外のクルーを乗せた脱出艇がエスペランサを離れ、アルバートはエスペランサの自爆装置を始動させる。
  『1分後に、艦内の大型爆弾が起動します。』
 その時、ものすごいスピードで外から突っ込んでくる機体があった。
  『艦長!』
 アルバートが艦内に残るという情報を聞いたルディのストライクイクシードだった。
 ストライクイクシードはブリッジの強化ガラスを叩き割り、ルディがブリッジの内部に入ってきた。
  「ルディ、早く脱出しろ!」
  「艦長、あなた正気ですか!」
  「仕方が無いことだ。それに、私はこの手で兄貴を殺してしまった。」
  「その償いだって言うんですか?そんなこと言ってられませんよ。」
 アルバートは黙る。
  「ストライクイクシードの推力ならまだ間に合います。早く!」
  「・・・。」
  「アマテラスさんに、新しい世界を創れって言われたんでしょ。その話聞きました。だから早く!」
  「・・・ああ、そうだな。お前の言うとおりだ。・・・行こう、みんなのところに。」
 2人は急いでストライクイクシードのコックピットに飛び移る。
 すぐさま反転し、スーパーノヴァの砲口から外に出た。
  「時間だ。」
 爆発の光がひとつ見え、その直後、スーパーノヴァは内部から膨れ上がる炎に覆われて完全に破壊される。
 爆風はストライクイクシードも襲い、激しく吹き飛ばされる。
  「みんな・・・。」
 ルディとアルバートの視線の先には、脱出艇の中から手を振っているクルーたちがいた。
  「待っててくれた。僕たちのために!」
 ストライクイクシードのコックピットが開き、2人は外に飛び出す。
 慣性のままに宇宙を漂い、クルーたちが待っている脱出艇に向かう。
 やがて脱出艇に降り立ち、クルーたちは2人をヒーローのように激励した。
  「兄さん!」
 リオがルディの元に走り、エリスもそれに続く。
  「ルディ!」
 エリスがルディに飛びつき、ルディはバランスを崩して転倒した。
 クルーたちはそれを見て笑い、ルディもつられて笑い始める。

 アルバートは脱出艇に降り立つと、かすかに見える青い地球を見つめていた。
 強い意思の力・・・超人類の完成体が発した”守る”という意思によって守られた地球を・・・。

 世界暦15年10月3日 後に”地球圏戦争”と呼ばれることになる、約3億人を死に至らしめた大規模な戦争が終結した・・・。
                                                       


  ダブルオーの一言
 のdが:jvgんhg:あjvg:←言葉に出来ない達成感の塊
 終わったー、疲れたー、長かったー。
 もっと長いやつ書いている人もいますが、今の僕にとってこれが限界です。
 何とか年内に終わりました。
 ”年越し不死鳥の宇宙”は防げましたが、”大晦日不死鳥の宇宙”になっちゃいました。
 最後はこういう結末に・・・。
 意思の力は何でも出来る!って感じです。

 最終話まで読んでくれた人に一言
 この長ったらしい文章を最後まで読んでくれてありがとうございます。
 その根気に拍手です。

 最後に
 この小説はフィクションであり、実在の組織、人物、事件とはまったく関係ありません。
 まあこんなことが現実だったら世界中で大ニュースになってますけどね(笑)

 それでは、よいお年を・・・。

                <第二十二話 ホーム エピローグ>

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第二十二話 スーパーノヴァ戦役 

  第二十二話 スーパーノヴァ戦役
  「いよいよだな。」
 ルディは自室の窓から見える巨大な軍事衛星”スーパーノヴァ”を見て言う。
 地球連合艦隊は最後の攻撃に向けて準備を進めていて、一歩部屋の外へ出るとその忙しさが伝わってくるようだ。
 アマテラスも地球連合艦隊の出方を伺っているようで、まだ動きは見えない。
  『3時間後に”オペレーション エンド・オブ・ウォー”を開始します。最終準備に入ってください。』
 その放送を聞き、ルディも椅子から立ち上がり、部屋の外に出て行った。

  「スーパーノヴァのΩ線充填予想値は?」
  「60%代です。」
  「高いな。・・・予定より1時間早く作戦を開始するか・・・。」

 スーパーノヴァの司令室では、アマテラス・バルツァーが各部署に指示を出していた。
  「スーパーノヴァ第三フィールドにグレンデル50機を回せ。Mラインの艦隊をV字隊形に。」
 その部下は指示を的確に各部署に伝令し、防衛の準備は整っていく。
  「”ケレス”の部隊の95%をこちらに送れ。万全の数を用意する。」
 小惑星”ケレス”に駐留している部隊もすぐに移動を開始した。
  「これで万全だな。アルバート、討てるものなら討ってみろ。スーパーノヴァを!」
 モニターに映し出された大量のグレンデルを見てアマテラスは笑みを浮かべる。

  『作戦を説明する。現在我々は、コルネリオ宙域に滞在している。Ω線充填度60%代でのスーパーノヴァ砲発射は考えられないと判断し、スーパーノヴァ砲口から内部コアに侵入する。侵入に成功した後、艦を停泊し、着火装置を持った特殊白兵部隊をスーパーノヴァ施設内部に突入させ、着火装置を設置する。その後、施設内に気化爆弾を充満させ、艦は内部から離脱した後、白兵部隊が設置した着火装置を起動し、スーパーノヴァを内部から完全に破壊する。アマテラスのMTUの数は我々の8倍と推測される。恐らく、彼らはオーストラリアにある国連のMTU製造工場を占拠したときに、大量のグレンデルを生産したのであろう。さらに、以前ライナス搭乗のライザーアークを撃墜した正体不明機一機と、ゲイザータイプ数機を確認している。今までにない程危険な作戦といえるが、地球の未来がかかっている。どうか心して作戦を遂行してくれ。最後に、今まで一緒に戦ってきてくれてありがとう。みんな・・・生きて帰ってこい。これが一番の命令だ。』
 ルディは力強くうなずき、ストライクイクシードをカタパルトに接続する。
  『今回、新型の高機動ブースターユニットを脚部に装着しています。機動力は2倍に増加するはず。』
 聞きなれたフェリナの声がコックピットに響く
  「うん、ありがとう。これで戦いは終わるのか・・・。どんな結果になっても。」
 その後、決意を固め、巨大なスーパーノヴァを見つめる。
  「ルディ・カーティス・・・ストライクイクシード行きます!」
 いつものように青い光の尾をまといながら漆黒の宇宙に飛び出していった。
 それを合図に、地球連合艦隊の全艦からMTU部隊が一斉に発進する。

  「来ました。敵がMTUを発進させます。」
  「各隊迎撃にかかれ!一機たりともスーパーノヴァに突入させるな!」
 アマテラスは力強く命令した。

  「カイザー・へルマン、クエーサー出すぞ!」
 ゼウス級大型空母から黒と紫のMTUクエーサーが出撃し、地球連合艦隊へ向かう。
  「今度こそ墜とさせてもらう。ルディ・カーティス!」

 ヘリオスが、ファントムJ型が、ジュネス改が、グレンデルが、グレンデルFが、宇宙を駆け、それぞれの敵を撃ち、そして宇宙に散っていく。
 そんな泥沼の戦場の中を地球連合艦隊は突き進み、スーパーノヴァに接近する。

 あとどれだけ人を傷つければ戦いは終わるんだろう、ルディはふとそう思いながらもグレンデルを斬り、撃ち続ける。エスペランサに近づく敵機を片っ端から破壊し、必死の思いで”家”を守っていた。

  「ゲイザータイプ接近。警戒を!」
 ミランダが叫び、クルーはいっそう緊張を強める。
 一機でもルディのイクシードを苦しめた。あんなのが何機も来たら・・・。
 そんな思いでミランダはかすかに見えるゲイザーのシルエットを見つめた。

  「こちらトリスタン二番艦。推力低下。これ以上の戦闘行為は不可能と判断し、隊列から離脱する。後は頼んだぞ!」
 エンジンを破壊されたトリスタン二番艦は速度を落としながら徐々に隊列から抜けていった。

 エスペランサの僚艦としてエスペランサを必死に護衛していたグラードルの巡洋艦通称”ブレイブ”が火を噴き、傾き始める。
  「”ブレイブ”損傷拡大!あっ、爆発します!」
 ”ブレイブ”の内部から火が膨れ上がり、艦全体を包み込んだ。
 ブリッジからそれを見ていたエスペランサの全クルーは”ブレイブ”に向かって敬礼し、健闘に感謝する。

 さらにもう一隻の僚艦”ホープ”も火を噴き、激しく撃沈した。
 これで先陣を進んでいるのはエスペランサのみ。
  「もう後がない!艦を守るんだ。」

 エスペランサの前方を一人で守っていたルディが何かに気付く。
  「この感覚は・・・カイザー・ヘルマンか!」
  『ルディ・カーティス!今度こそお前を討つ!』
 ものすごい気迫と共にクエーサーが急接近する。
  『ルディ、そいつにかまっている時間は無い。無視しろ。』
 クリーヴァに乗っているアルバートが指示する。
  「いや、それは出来ません。こいつは・・・ライナスさんを!」
 ルディはそう言い、クエーサーに接近する。
  『いい加減、墜ちやがれぇぇーー!』
  「あんたみたいなのがいるから戦いは終わらないんだぁぁーー!」
 両者は互いに剣を取り出し、激しく衝突する。
 ストライクイクシードの実剣がクエーサーのビームソードと激突し、激しい火花が飛び散る。そして!


  次回予告
 地球連合艦隊は敵の猛攻に耐えながら、なんとかスーパーノヴァに取り付こうとする。
 しかし、ゲイザー隊やゼウス級大型空母の奮闘により、苦戦を強いられる。
 さらに、ストライクイクシードもクエーサーに苦戦している。
 そんな中、Ω線充填が完了したスーパーノヴァ砲発射のカウントダウンが始まる。
 この長い戦いの結末はいかに!
  次回!最終話 不死鳥の宇宙
   おたのしみに!


  ダブルオーの一言
 あと一話!イエーイ。
 今回はスーパーノヴァ周辺の戦闘全体を書いていきましたが、次回はもっと各キャラクターの行動を書いていきたいと思います。
 この長い戦いの結末はいかに!

                 <第二十一話 ホーム 最終話>

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第二十一話 突破への道 

  第二十一話 突破への道
 先ほど発進させた無人偵察機の位置を示す点がレーダーに表示されている。
  「あと少しですね。」
 その偵察機は、スーパーノヴァ周辺の偵察に当たっていた。
  「決戦だな。兄貴との。」
 アルバートが、かすかに見えるスーパーノヴァのシルエットを見つめながら言った。
 だが、そこで何かに気付いたようだ。
  「光?」
 無数のビームの光がスーパーノヴァ周辺に走り、ひとつの小さな爆発が起こる。
  「あっ、偵察機の反応が消えました!」
 フェリナの言うとおり、さっきまでレーダーに映っていた無人機を示す点が消え、変わりに「LOST」という文字が表示されている。
  「迎撃部隊がいる位置からかなり離れているはずだが・・・。」
  「光学スコープで視認してみます。」

  「アマテラス様、砲撃衛星郡が敵の無人偵察機を撃墜しました。」
  「完璧だな。ここの防衛網は。」
 スーパーノヴァの司令室で、アマテラス・バルツァーとその副官が話していた。
  「ゼウス級大型空母は?」
  「あと少しで、防衛部隊と接触します。」
 エスペランサとの砲撃戦を経て、ニュージーランドから宇宙へ出たアマテラスの大型空母”ゼウス級大型空母”はスーパーノヴァの防衛部隊と合流し、スーパーノヴァ防衛の要となる存在である。
 数百機のMTUを搭載することができ、まさに動く要塞といったところだろう。
 
  「これは・・・敵の砲撃衛星がスーパーノヴァの周囲を覆うように展開しています。」
  「近づいたらビームの豪雨にさらされるか。」
  『こちらにひとつ、打開できる方法がある。』
 国連艦隊からだ。
  『”ヘルシャーク”型ミサイルを改造し、プラズマではなく電磁パルスを放出するミサイルを所持している。弾数は一発しかないが、成功すれば衛星郡を麻痺させることが出来るかもしれない。』
  「なるほど。すぐに実行に移そう。」

 スーパーノヴァの副官が、レーダーを見ながら叫んだ。
  「敵艦隊、侵攻を止めません。」
  「何だと、近づいたら無数のビームを浴びるだけだというのに。」
  「エスペランサを最前列に出し、V字隊形で侵攻してきます。」
  「まさか・・・衛星を攻撃しようというのか!防衛部隊を出せ。」

  「敵部隊接近。かなりの数です。」
  「各MTU出せ。私も出る!」
  「えっ、艦長自ら?」
 フェリナは驚きの表情でアルバートを見つめる。
  「ライナスに渡すはずだった”あれ”があるだろう。」
  「”クリーヴァ”ですか?」
 アルバートは黙ってうなずく。

 RMT-850 クリーヴァ
 グラードルがライザーアークを開発した際に出た余剰パーツをエスペランサが受け取り、艦内で設計し、組み立てられた機体である。
 グラードルの技術とエターナルの技術の両方が生かされ、イクシードを凌駕する性能を持つといわれる。
 武装は、ビームマシンガン、大型ナイフ、誘導式高出力エネルギー砲、肩部ビームバルカン砲、バックパックのミサイルである。

  『艦長、本当に大丈夫なんですか?』
  「私だって、若い頃はMTU乗りだった。エスペランサを守ることぐらい!」
  『わかりました。カタパルトデッキに移動します。』
 クリーヴァはカタパルトに接続し、発進を待っていた。
  「アルバート・バルツァー、クリーヴァ発進!」
 クリーヴァが勢いよく発進する。
 続いて、他の機体も発進する。

  「グレンデル隊、発進しました。20秒後に会敵します。」
 アマテラスの副官が告げる。
  「・・・なんとしてでも、スーパーノヴァの区域に侵入させるなよ。」

  「ライナスさんがいなくても!」
 ルディはストライクイクシードを駆り、グレンデルを真っ二つにした。

  「なんか動きがおかしい・・・。」
 コアトルを駆るトルカが愛機の異変に気付いた。
 トルカの操作にうまく反応せず、100%の性能が出せない。
 その時、グレンデルが放ったマシンガンの数発がコアトルに直撃する。
  「うわぁ。」
 コアトルは大きく体勢を崩し、宇宙空間を回転しながら漂った。
 さらに、コアトルに新たな異変が襲う。
 メインモニターから映像が消え、トルカの操作にもまったく応じなくなる。
  「どうしたんだ、コアトル!」
 その代わりに、大きな衝撃が走り、勝手に動き始めた。
 トルカの頭に、コアトルを託されたときの言葉がよぎる。
  「この機体は、人造生物を半分機械化させたものだから、いつか暴走を始めるかもしれない。」
 その言葉通り、暴走を始めている。
 コアトルの目が怪しく光り、敵を捕捉すると一気に加速した。
 グレンデルをつかみ、ビームクローで八つ裂きにする。
 その後、次の一機もバラバラに砕き、他の機体も残酷な方法で破壊する。

  「何だあの戦い方は!」
 アルバートはコアトルの異変に気付く。
  「暴走したのか?」
  『今は時間がありません。』
 ミランダの声だった。
  『コアトルを前線に出し、この区域を突破しましょう。』
  「・・・ああ。」

 その後もコアトルは暴走を続け、次々に敵機を粉砕していった。
 艦隊は着々と前進し、EMP(電磁パルス)弾頭の発射位置に到着した。
 国連のミサイル艦が抱えていた大きなミサイルが発射され、砲撃衛星郡の中枢で爆発する。
 一瞬の閃光が辺りを覆い、衛星郡は動きを止める。
  「成功だ。衛星郡は電磁パルスによって麻痺した。衛星宙域を突破するぞ!」
 アルバートの声と共に艦隊は前進し、最終決戦の場所、スーパーノヴァに向かっていった。


  次回予告
 スーパーノヴァ攻略戦です。
 まだちゃんと決まってません。
 多分次回かその次が最終回だと思います。

  ダブルオーの一言
 この話はネタに迷ったんだよなぁ・・・。
 コアトルの暴走ネタを温存しておいて良かった。
 今回はルディの活躍は少なめです。
 そういえば最近、シヴァの出番も少ないような・・・。
 もう少しで最終回です。
 スーパーノヴァ砲の発射を阻止できるのか!

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第二十話 完全包囲 

  第二十話 完全包囲
 地球連合艦隊(エターナル、グラードル軍、ネルティア軍、国連軍の連合艦隊)は”オペレーション エンド・オブ・ウォー”に向け、軍事衛星スーパーノヴァに向かっていた。
  「かなり厳しい戦いになるだろうな。」
 各勢力の代表者がエスペランサの士官集会室に集合し、作戦会議を行っている。
  「スーパーノヴァ本体は強固な電磁フィールドに覆われている。どうするか・・・。」
 ネルティア軍代表のビル・ラインが言った。彼はトリスタン4番艦の艦長をしている。
  「MTU部隊を突入させるか?」
 グラードル代表のダグラス・グラードル大統領が言う。
  「いや、それでは危険すぎます。ここはスーパーノヴァの砲口から艦隊を中に入れましょう。砲口まで電磁フィールドで覆うわけには行かないから砲口は無防備のはずです。」
  「なるほど。さすが長年戦ってきたアルバート艦長だ。」

 ルディたちの両親は、比較的安全と言われているコスモサイドベースに避難する事になった。
  「またお別れか。」
 リオが悲しそうに言った。
  「また会えるよ。この戦いが終わったら。」
  「うん、そうだよね・・・。」

 それから4日後。
 敵に襲撃されることも無く、艦隊は静かに航行していた。
 すでに艦隊は小惑星帯に進入し、もう少しで”ケレス”の最初の防衛ラインに差し掛かるところにいた。
  「前方にかなりの規模の艦隊が待ち構えていますね。こっちの艦隊と同じ位の規模です。」
 フェリナはモニターを見ながら分析する。
  「強行突破しかないか。あまりここで戦力を・・・。」
 アルバートが言い終える前にフェリナが異常を知らせる。
  「待ってください。後ろにも敵艦隊がいます。えっ、左右にも、さらに上下からも敵艦隊が迫ってきます。」
  「なんだって!全方位を囲まれたのか!」
 その時、大型モニターにグラードル大統領が映し出された。
  「大統領。敵艦隊が!」
  『こちらでも確認している。宇宙ならではだな。前後左右、そして上下を囲む物量作戦”立体包囲”だ。』
  「MTU部隊を全機発進させます。」
  『ああ、頼む。こちらからも全機発進させる。艦隊の指揮は頼むぞ、アルバート艦長。』

 ルディはMTU格納庫に向かって走っていた。
  「エリス、どうしたんだ?」
 エリスが角から飛び出してくる。
  「私も出撃する事にしたの。艦隊を守るために。」
  「そんな、大丈夫なのか?」
  「うん。シミュレーションは何回もやったし、艦長にもミランダさんにも許可は得たから。」
  「わかった。無理しないように。」
 MTU格納庫に付くと、エリスはヘリオス改予備機に向かった。
 ルディもストライクイクシードに搭乗し、システムを起動させる。

 数分後、MTUは全機発進し、迎撃体勢に入った。
 敵艦隊からもグレンデル隊が発進した。
  「さて、どうするかな。」
 アルバートは突破の方法を考えている。
  『僕にひとつ考えがあります。』
 リオからだった。
  『一番規模が大きいのは、前方にいる艦隊です。そこさえ通らなければ損害は減ると思います。そこで、エスペランサ以外の艦隊は上方の敵艦隊を叩き、突破します。』
  「で、エスペランサはどうするんだ?」
  『エスペランサはかなりの高速艦です。下方に展開している艦隊を攻撃しつつ、最大速度で前方の艦隊を下から上へと横断します。砲撃を前方艦隊の旗艦に集中させ、撃沈させることが出来れば前方艦隊は混乱し、少しですが攻撃の勢いが弱まると思うんです。』
  「なるほど。」
  『そのときに、エスペランサ以外の地球連合艦隊が前方艦隊の上を跳び越す形で突破するんです。』
  「エスペランサは単艦で突破するのか?」
  『はい、それ以外に方法はありません。チャンスは一度きりですがやってみましょう。』
  「・・・わかった。やってみよう。」

 数分後、その作戦は全艦に伝えられ、実行に移された。
 エスペランサは下に離脱し、それ以外は上に進路を取る。

  「墜ちなさい!」
 ミランダのライザーアークが手に取ったレーザーソードがグレンデルを貫き、炎の奥に消える。
  「しつこいんだよ!」
 ライナスはビームライフルを連射し、一気に数機のグレンデルを破壊した。
  「このっ!」
 左手のビームクロー、右手のビームランスを使って二機のグレンデルを相手し、両機とも撃破した。
  「数が多い!」
 そう言いながらもリオの的確な狙撃は次々とグレンデルを捕らえる。
  「一気に道を開ける!」
 ストライクイクシードの全砲門が開き、一斉に無数のビームが放出される。
 目の前に数多くの爆発が起き、暗い宇宙を一瞬鮮やかに照らした。
 さらに、今回新たに装備されたイクシードバレル(レイバレル、ゲイザーバレルと同じような遠隔操作砲塔)が空を舞い、撃墜しきれなかったグレンデルをビームで叩き落した。
  「そこっ!」
 エリスのヘリオスが放ったビームがグレンデルの胴体を貫く。
  「当たった!」
 続いて次の機体も撃破する。
  「いい加減止めてくれぇ!」
 マルチロックしたパーフェクトジュネスのミサイルが一斉に発射され、多数の敵機を爆散させた。

 エスペランサはその中を突っ切り、前方に展開する敵艦隊に向かう。
  「全砲門スタンバイ。照準、敵旗艦!」
 敵艦隊の中心に近づいたエスペランサの全砲門が開き、敵旗艦を狙う。
  「発射ぁ!」
 鮮やかなビームは吸い込まれるように敵旗艦に命中し、各所から炎を上げて轟沈した。

  「あいつら!旗艦をやったのか!」
 地球連合艦隊の前方に展開しているアマテラス艦隊の艦内で待機しているカイザーは、旗艦撃沈の報を聞き、驚きを隠せない。
  「”クエーサー”を出すぞ。エスペランサを撃沈する!」
  「しかし、アレはまだ・・・。」
  「試験運用もかねて行う。心配するな。」
 カイザーはそう言うと、その部屋を出て行った。

 AHU-800クエーサー。
 ゲイザーの性能が不足していると感じたカイザー本人が設計した新型MTUだ。
 ストライクイクシードで使用された技術も使われていて、性能は互角以上といえる。

 敵旗艦を撃沈し、地球連合艦隊との合流地点に向かうエスペランサに接近する物体があった。
  「こちらライナス。正体不明機が接近。識別はアマテラス。」
 ルディと共に哨戒を行っていたライナスが最初にその物体に気付いた。
 その時、不意にその物体からビームが放たれ、ライザーアークを掠める。
  「ライナスさん!」
  「大丈夫だ!」
  『超人類と常人類の共存はできないと、何回言わせるかぁぁーー!』
  「その声は、カイザー・ヘルマン!」
 続けざまに数発のビームが放たれる。
  「この野郎!」
 ライナスはそう言い、ビームライフルで反撃した。
  『くっ、邪魔が入るか!』
 クエーサーは両刃レーザーソードを抜き、ライザーアークに迫る。
 ライザーアークもレーザーソードを構えた。
  「ライナスさん!そいつは・・・。」
 ビームの刃が衝突し、激しい衝撃波が起こる。
  「うおりゃぁぁーー!」
 ライザーアークがレーザーソードを振るう。
 クエーサーはそれをひらりとかわし、反撃体勢に移った。
  『消えろぉぉ!』
 両刃レーザーソードがライザーアークの腰を両断し、脚部が激しく爆発する。
  「ライナスさん!」
 ストライクイクシードはライザーアークをかばうように構えた。
 しかしその時、一瞬だけ反応が遅れたルディに、四方からクエーサーバレルのビームが飛来する。
  「ルディ!」
 ライザーアークが瞬間的にストライクイクシードの前に出て、そのビームをエネルギーシールドで受け止める。
  『邪魔だ!』
 さらに数発のビームが放たれ、体勢を崩したライザーアークを襲った。
  「ルディ、すまない・・・。」
 ビームの連射に耐えかねたライザーアークは大爆発を起こし、消滅した。
 一瞬の硬直の後、ルディが叫んだ。
  「・・・ライナスさん。ライナスさぁぁぁん!」
 ルディに見えているのはライナスの仇であるカイザーのみ。
  「お前が・・・お前がやったのか!」
 ルディのイクシード・ジ・インフィニティが目覚め、膨大な力が解き放たれる。
 ただがむしゃらにビームを乱射し、”セイリオス”を振り回し、クエーサーを襲う。
 その数発がクエーサーに命中する。
  『こいつ、気が狂ったのか!やむを得ん、撤退する。』

 戦闘が終了し、地球連合艦隊に合流したエスペランサの艦内では重苦しい空気が流れていた。
  「ライナス・・・いずれはエターナルの代表にもなるかと思っていたが。」
 アルバートでさえ涙を隠しきれない。
  「僕が・・・守りきれなかった。」
  「大丈夫?ルディ。」
 ブリッジに入ってきたエリスが言った。
  「うん、これから作戦が始まるんだしね。それに、僕が守らなきゃ。みんなを。」
  「そうだよね。」


  次回予告
 多大な犠牲を払って立体包囲を脱したが、さらなる脅威が待ち構えていた。
 スーパーノヴァを偵察するために発進した偵察機が、いきなり破壊されたのだ。
 スーパーノヴァの周囲には無人砲撃衛星が無数に待機していて、スーパーノヴァの護衛に当たっていた。
 そこで、国連から提案が出される。
 極秘裏に開発していた”ヘルシャーク”の改良型のミサイル”EMP(電磁パルス)弾頭”を衛星郡の中枢に打ち込み、衛星を行動不能にするというものだった。
 果たして、この作戦は成功するのか!
  次回!第二十一話 突破への道
   おたのしみに!


  ダブルオーの一言
 なんか最近サブキャラ(特にライナス)の出番が少ないなぁと思っていました。
 そこで思いついたのが今回の展開でした・・・。
 重要メンバーが一人も死なずにスーパーノヴァ攻略できるわけありませんもんね。←そういうこと?
 もう少しで最終回です。
 何とか年内に終わりそうです。

                 <第十九話 ホーム 第二十一話>

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