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SELENE ~月の裏の激闘~ 前編 

  SELENE ~月の裏の激闘~

 国際宇宙機関の設立によって、ようやく宇宙への道を本格的に歩み始めた人類。
 その激動の時代の流れに埋もれ、人々に語り継がれることのなかった小さな戦い。
 これは、月の裏側で行われたその小さな戦いの物語である。


 前編
『初の実戦だ。実戦だと対消滅炉もどういう動きをするか分からない。くれぐれも気をつけろよ』
サイレンが鳴り響き、あわただしくなっている施設内でただ一人、静かにMTUのコックピットに座ってモニターを見つめている男がいる。
「ああ、わかっています。無理はさせません」
この物語の主人公 アリエル・マーシャスはそう答え、モニターを見続ける。
『粒子フィールドもまだ展開するな。調整が終わってない』
「・・・了解」
彼の乗っているMTUはネクストホライズン社企業軍所属の”アークツルス”。

NFX-202 アークツルス
ネクストホライズン社の技術のすべてをつぎ込んで開発された最新鋭MTUである。
エネルギー供給源として小型対消滅炉を搭載していて、莫大なエネルギーが供給される。
当初は実験機だったが数々の運用試験を終了し、ネクストホライズン企業軍に配備されることになった。

アリエルのオペレーターのバッド・リドゲートは元戦闘機乗りの男性オペレーターである。
「対消滅炉が安定しないのが気に入らんが・・・。とにかく正体不明機の侵攻を食い止めるんだ」
バッドは言う。
「了解。アークツルス発進する!」
ネクストホライズン月面支社の滑走路から発進したアークツルスは徐々に高度を上げる。
アリエルは遠くに浮かぶ青い地球を少し見て、決意を決めたようにアークツルスを加速させた。
『正体不明機は6機だ。言っておくが、わが社の偵察部隊もキレイさっぱりやつらに掃除されたから気をつけろ』
後続のカーディナル部隊が付いてきているのを確認し、バッドの言葉に苦笑いで返答した。

「レーダーに感あり!総数6。あの正体不明機の部隊か・・・」
『こちらでも確認した。接敵まで10秒』
その時、前方から数本の光の筋が走る。
「くっ、なかなかの射程のようだな。まぐれ当たりを期待するのか?」
その後の数発がカーディナルの1機に命中し、そのカーディナルは爆散した。
『アリエル中尉、固まっていては危険です。ここは散開して各個撃破を!』
カーディナル隊の隊員の一人が言う。
アリエルは短く返事し、カーディナル隊を散開させる。
「射程範囲に入った。情報どおりMTUのようだ」
正体不明MTU部隊もカーディナル隊に合わせて散開し、各個撃破の体勢に移った。
アークツルスのプラズマ突撃銃が火を噴く。
敵MTUは複雑な軌道を描いて回避し、反撃に転じた。
アークツルスはかわしきれずに反撃のビーム砲が掠める。
「うっ!」
幸い、大した損害ではない。
アークツルスはすれ違いざまに腕部のプラズマエッジ(エネルギー刃)を正体不明機の腹部に突き刺し、ようやく1機撃破する。
カーディナル隊も不明機を数機撃破したが、カーディナル隊の損害は大きくなるばかり。
その時、いきなりアークツルスのコックピットの中に警報が鳴り響く。
「なんだ!?」
素早くモニターを確認する。
「対消滅炉が安定しない!」
アークツルスは徐々に高度を落とし、遂には月面に着陸した。
すると、目の前に敵機が。
「しまった!」
しかし、敵の銃口が火を噴く前に一機のカーディナルがブレードでその敵機を切り裂く。
『大丈夫か!アリエル』
バッドだった。
「対消滅炉の発熱量が異常です!」
『やむを得ん、緊急停止させろ』
アリエルがタッチパネルを操作し、小型対消滅炉は停止した。
補助バッテリーが作動し、わずかながらアークツルスに電力を供給し始めた。
『後の敵は後続のカオス部隊に任せて撤退するぞ』

戦闘は終了し、バッドとアリエルは月面支社に降り立った。
「今の戦闘中に、月の裏の探査をしている探査隊がいきなり消息を断ったようだ」
バッドが帰還したアリエルに言った。
「探査隊?」
「フロンティアアークス社が出した隊だ。月の裏にでも支社を立てようとしたんだろう」
「いきなり・・・ですか?」
「ああ。さらに、興味深い無線通信を傍受した。探査隊が消息を断つ1,2分前にフロンティアアークスに出した救難信号だ」
バッドはそう言い、手元の携帯情報端末を操作した。
最初はノイズ混じりだったが、少しずつ鮮明に聞こえるようになる。
『・・・こちらスカ―レッド・・・こちらス・・・。謎の施設を発見・・・接近した・・・攻撃を受け・・・救援・・・要請する!』
音声が終了する前にバッドが言う。
「このような通信が何回か続いたあとにいきなり通信が途絶えたんだ」
バッドは端末を操作し、月の裏の地図を開いた。
「通信が途絶えたのはここだ。無論、このあたりは人類文明から遠く離れた場所のはずだ」
黙って端末を机に置き、話し続ける。
「この続きの通信によると、探査隊”スカ―レッド”は長距離プラズマ砲の砲撃を受けたようだ」
アリエルは近くのイスにゆっくり座った。
「フロンティアアークスはどう対応するようですか?あと、国も・・・」
「フロンティアアークスの企業軍は救出任務に入るようだ。だがクレイドル政府は全然相手にしてくれない」
「ネクストホライズンは協力するんですか?」
ネクストホライズン社はフロンティアアークス社から分離した新興企業である。
そのため、分離後もフロンティアアークス社との関係は良好だ。
「多分な。すぐに本社から連絡が来るだろうな。立地の関係上、行くのは俺達になりそうだ。」

その話のあと、いったんバッドは部屋を出た。
すぐに戻ってきたが、手に焼けただれた機器を持っている。
「さっきの正体不明機の残骸を回収し、分解して持ってきた内部機器だ。」
アリエルは興味ありげにその機器を覗き込む。
しかし、その機器についている企業名に目がとまる。
「やはり気づくか。UI(ユナイテッド・インダストリアル)社のマークだ」
「UI?かなり前に倒産したはずじゃ・・・」
UI社とは、クレイドル合衆国統一前に存在したフランシス共同体の大手企業である。
クレイドル合衆国統一戦争の際に大打撃を受け、立て直せずに倒産した。
「それに、UIが倒産前に作っていた機器のどれにも一致しない。つまり、倒産した後に開発されたパーツである可能性が高い」
「そんなことってあるんですか?」
「倒産した企業の残党が作ったパーツというものは稀にあるが、普通なら残党勢力も倒産後から数年で壊滅してしまう」
「なのにUIの残党は数百年間生き残っているってことですね」
「あれがUIの残党が作ったパーツであればな」
その時、スーツ姿の若い男性が入ってきた。
その男性はバッドに小さな紙を見せると、すぐに部屋を出て行った。
バッドは小さくうなずき、アリエルに歩み寄る。
「俺の予想は的中したようだ。本社からの指示だった。まあ簡単に言うと”ボーナスは出すから探査隊の救出に行ってこい”ってことだ。ただちに出撃準備にかかるぞ!」
アリエルもうなずき、バッドと共に格納庫に走って行った。

数時間後、ネクストホライズン社月面支社では”スカーレッド”救出隊が編成され、出発の時を待っていた。
アークツルスと、現在CRA軍でも正式採用されている新型MTUカオスⅡ、そしてネクストホライズンやフロンティアアークス企業軍では主力となっている旧型のカーディナルが配属されている。
「ボーナス、どれくらいでるかなぁ」
「生きて帰ってきたらの話だけどな」
救出部隊が乗艦する輸送艦は非武装だが、かなりの積載量を持つ。
ネクストホライズン社は今回の探査隊失踪事件を重く受けたようで、ネクストホライズン社は企業軍の約半分の戦力を注ぐようだ。

『輸送艦”ムーア”、出航準備完了。カウントダウンに入る』
「さ、行くぞ。月の裏に。あそこは人類文明から遠く離れた場所だ。何が起こるか分からない」
『・・・4,3,2,1,発射!』
巨大な輸送艦は背部から眩い光を噴射しながらゆっくりと加速し、ネクストホライズン社の月面支社から遠ざかっていく。
「UI・・・一体何が起こるんだ」
アリエルは窓から見える青い地球を眺めながらつぶやいた・・・。
                                                後編へ続く・・・

  ダブルオーの一言
 久しぶりに小説書きました。SELENEは「セレーネ」と読みます。ギリシャ神話だかなんだかの月の女神らしいです。
 ずいぶん長くなりました。戦闘シーンがマンネリ化しているような・・・。
 後編はいよいよ月の裏側に突入します。
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